行政書士と簿記は実はとても相性の良い資格です。簿記は国家資格ではありませんが、簿記の知識は行政書士として開業すれば自身の確定申告に必要となるだけでなく、業務として行うにもとても役に立ちます。
そこで、今回は行政書士が簿記の資格を取得するメリットについてご紹介したいと思います。
行政書書士に記帳代行の業務が向いている理由
私のメイン業務のひとつでもある記帳代行は、実は行政書士業務の中で安定した収入が見込める業務です。
行氏書士が会計帳簿の作成を出来ることをご存じない方のため、簡単にご説明します。
行政書士業務の中に「事実証明に関する書類の作成とその代理、相談業務」というものがあります。
事実証明に関する書類の中には会計書類が含まれており、行政書士も会計帳簿、財務表表などの作成をすることが出来るとされています。
ただし、行政書士が記帳代行を行う場合、行政書士試験の範囲に簿記は含まれていませんので、別途簿記の知識を得る必要があります。
会計書類の作成をするには簿記の資格がないといけなという決まりはありませんが、簿記の知識がなく業として行うのは、あまり現実的とはいえません。

では、簿記は何級くらいの知識が適当なのでしょうか?

そうですね。私個人は2級程度の知識がある方がよいと思います。
3級は簿記の基礎的であり、業として行うのであれば、やはり2級までは取得することを推奨します。
3級では心もとないですし、1級となると税理士試験科目に匹敵するくらい難易度が高いからです。
記帳代行業務は、行政書士の他の業務と比べると料金はあまり高くありません。
しかし、他の業務と異なり顧問契約となるため毎月安定して収入があることが最大の魅力です。
そして、記帳代行と比較すると高額であるとされる業務も最近では競争が激しくなり、かなり安い料金で業務を請け負う行政書士が増えてきました。
こうしたことから、行政書士にとって今後記帳代行はますます注目すべき業務であるといえるでしょう。
簿記の試験概要について
実施機関 | 各商工会議所 |
受験資格 | なし、誰でも受験可能 |
申込期間 | ◆筆記 6月検定 :3月下旬~4月下旬 11月検定 :9月上旬~10月上旬 2月検定 :12月中旬~1月中旬 ◆ネット :申込日より3日後以降の受験予約が可能 |
試験日 | ◆筆記 6月(第2日曜)、 11月(第3日曜)、 2月(第4日曜) ※3級…午前、2級…午後、1級…6月と11月のみ ◆ネット 随時(1級は実施されません) |
試験時間 | 1級:1時間 2級:1時間30分 3級:1時間30分 |
試験形式 | 筆記形式、ネット形式(1級は実施されません) |
合格基準 | 満点100点の70% ※1級のみ科目ごとの得点は40%以上 |
受験料 | 1級:7,850円 2級:4,720円 3級:2,850円 |
簿記検定は、お住まいの地域の商工会議所で申込むことになりますが、各商工会議所で申込み期間や方法などが異なるため、受験を希望する方はお近くの商工会議所の要綱を確認するようにして下さい。

簿記検定ってネットでも受けられるんですね?

私は4半世紀前以上に受験したので、当時はネットさえなかった時代ですので、ちょっと想像できません。
コロナ禍で始まったネット試験ですが、簿記のような仕訳が必要となる出題では、どのように解答するのか正直不思議です。
難易度は筆記とネットで配慮されているようですが、その方法ではと筆記試験と比較して難易度の公平性が保てないような気が致します。
簿記は独学でも合格できるか
簿記検定のうち3級と2級は独学でも合格が可能です。
1級も独学で合格する方はもちろんいらっしゃいますが、1級はかなり難易度が高いと考えておいた方がよいでしょう。
一般的に簿記の学習時間は、独学の場合3級で100~150時間、2級で150~250時間、1級で500~700時間が必要とされています。
この学習時間について2級と1級に関しては、それぞれ3級の知識、2級の知識があることが前提となっています。
試験概要の通り試験は3級と2級は年に3回、1級は2回実施されます。
さらに、ネット試験は随時実施されているため、筆記より受験のチャンスは多いのが特徴です。
仮に試験に合格出来なかったとしても、それ程間を空けず次の試験に臨むことが出来ます。
おすすめの簿記講座
行政書士に合格できた!方々には、独学での取得を推奨している簿記ですが、どうしても独学は苦手、行政書士分野とあまりに違うためとっつきにくという場合は講座で学習方法をおすすめします。
また、講座での学習であれば、上記でご紹介した独学での学習時間を短縮することが可能です。
簿記講座を開講している資格取得学校等はいくつかありますが、料金設定が様々です。
行政書士として業務を行うためという前提のため、2級までのおすすめ講座のうち、費用対効果の良いものを選んでご紹介しています。
おすすめ簿記講座NO.1~スタディング

すすめNO.1の簿記講座は、スタディングです。
スタディングはなんといってもコストパフォーマンス抜群なのが魅力です。
料金が安くても、もちろん講座の中身は充実しています。
全ての学習をオンラインで完結し、、短期で効率的に合格を目指せるシステムが構築されているのが特徴です。
【スタディングの簿記講座の種類】
簿記3級・2級セットコース | 3級と2級がセットになっているコース | ¥22,000 |
簿記2級合格コース | 3級合格者が簿記2級の合格を目指すコース | ¥19,800 |
簿記3級合格コース | 3級合格を目指すコース | ¥3,850 |
※ネット試験(CBT試験)の試験にも対策対応しています。
おすすめ簿記講座NO.1~クレアール

クレアールの簿記講座では月ごとのキャンペーンを行っています。
通常料金ではそれほどお得には感じなくても、キャンペーン料金が利用できれば受講のハードルがかなり下がるのではないでしょうか?
【クレアールの簿記講座の種類】
3・2級講義パック | 初めての方向けの3級・2級セットコース | 50,000円 → 34,000円 |
3・2マスター | 確実に2級合格を目指すコース | 58,000円 → 39,440円 |
2級パック | 3級合格者が2級を目指すコース | 53,000円 → 36,570円 |
3級パック | 全く初めての方が3級を目指すコース | 14,800円 → 10,212円 |
3級解答力完成パック | 受験経験者、独学者が3級を目指すコース | うれ10,000円 |
クレアールでは早期に申込みすることで上記料金よりさらに割引になりますので、早めの申込みがおすすめです。
上記講座のうち「3・2級マスター」と「2級パック」は教育訓練給付金制度の対象となっています。
また、こちらの講座もネット検定に対応しています。
すめ簿記講座NO.3~フォーサイト

おすすめNO.3のフォーサイトの講座は3つの中では料金が高めですが、合格率が高いことが特徴です。
フォーサイト公表の2021年11月の受講者合格率は、2級で91.3%、全国平均の2.98倍、3級で85.7%、全国平均の3.16倍です。
【フォーサイトの簿記の種類】
バリューセット1 | 2級講座と過去問講座がセットのコース | |
バリューセット2 | 上記に3級講座を追加したコース | |
簿記2級スピード合格講座 | 2級の単科コース | 31,800円 |
簿記3級スピード合格講座 | 3級の単科コース | 16,800円 |
上記講座のうち「バリューセット1」と「バリューセット2」については、教育訓練給付金制度の対象になっています。
まとめ
行政書士の業務のうち、記帳代行はおすすめ業務のひとつです。
その理由は、顧問業務となるためたとえ毎月の報酬が高くなくても安定した収入が得られるからです。
記帳代行を行うには簿記の資格は必須ではありませんが、簿記の知識がゼロでは業として取り扱うことは考えにくいです。
プロとして業務を請け負うのですから、やはり簿記の資格は取得すべきで、出来れば2級はほしいところです。
行政書士の業務も競争が激しくなっており、これまで高額で請け負えた業務も価格破壊が起きています。
そんな状況の中、今後は記帳代行は行政書士にとって魅力ある業務のひとつといえるでしょう。