行政書士の試験免除とは、対象者はどんな人?

行政書士試験

行政書士になるには、試験を受ける必要がありますが、学習時間は初学者の場合最低でも800時間以上が必要とされています。

行政書士試験は受験資格が不要の試験ですが、何年も受からないと試験免除があったらどんなにいいだろうと、つい考えてしまうものです。

実は行政書士にも試験免除制度があるのですが、皆さんはご存じでしょうか?

今回は、行政書士試験の免除制度についてご紹介したいと思います。

行政書士試験を免除される人はどんな人?

行政書士法では、行政書士になれる者として以下の6つの資格を規定しています。

行政書士法
(資格)
第二条 次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。
一 行政書士試験に合格した者
二 弁護士となる資格を有する者
三 弁理士となる資格を有する者
四 公認会計士となる資格を有する者
五 税理士となる資格を有する者
六 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間及び行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。以下同じ。)又は特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して二十年以上(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校を卒業した者その他同法第九十条に規定する者にあつては十七年以上)になる者

試験に合格した者以外で行政書士になるには、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士、そして公務員であった者とされています。

これらの条件を特認制度といいます。

尚、公務員以外は、そのままの資格で行政書士登録出来ますが、公務員は兼業できませんので、退職後に登録することになります。

そして、公務員だったら誰でも行政書士になれるのか?というと、そういうわけではありません。

行政書士法第2条の6において、行政書士のなれる者を行政事務を担当した期間が高卒の場合で17年、中卒の場合で20年と定めています。

期間は確かにこの通りなのですが、行政書士事務という部分はあいまいで、よく分からないのではないでしょうか。

行政事務とは行政権に基づいて行政機関が行う事務のことをいいます。

受験者
受験者

正直、まだよく分かりません^^;

同じ公務員でも技術系の職務に就いている者は行政事務を担っているとはいえないように思われますが、それらを管理・監督する地位にある者、例えば係長や課長などは該当するようです。

ちょこ
ちょこ

知人の行政書士の中には、市役所で戸籍関係の事務に就いていた方や、警察官だった方もいますよ。

当然ですが、許認可等の審査にあたっていた場合も行政事務に該当します。

行政事務についてはとにかく多岐にわたり、公務員の行政事務歴で行政書士登録をする場合は事前に申請する必要があります。

公務員の行政事務歴以外で行政書士登録する人はいるか?

公務員以外の試験免除で、実際に行政書士登録する士業の方はいるのでしょうか?

弁護士の場合

弁護士で行政書士登録する方はほとんどいないと考えられます。

行政書士が行える業務の中に入管業務(申請等取次者としての承認手続が必要)というのがあります。

以前は、士業の中では行政書士のみしか申請取次者として認められていませんでした。

しかし、現在は弁護士も申請取次者になれるため、登録料や年会費を支払ってまで、行政書士登録するうまみがありません。

弁理士の場合

弁理士も弁護士同様、行政書士を兼業する人はほとんどいないでしょう。

弁理士と行政書士でかぶる業務は知財分野です。

例えば、
著作権の登録申請
著作権・特許権・商標権等の売買、ライセンス契約における代理人、権利関係の調査、コンサルティング
半導体集積回路の回路配置利用権登録申請

などは、一見すると弁理士業務のようですが、実は行政書士の業務です。

しかし、現在は弁理士も契約締結代理権があり、著作権等でADRの紛争代理権もあることから、こちらもわざわざ著作権等の登録のためだけに行政書士登録をする者はほとんどいないと考えられます。

弁理士法
(業務)
第四条
 一 特許、実用新案、意匠、商標、回路配置若しくは著作物に関する権利若しくは技術上の秘密若しくは技術上のデータの売買契約、通常実施権の許諾に関する契約その他の契約の締結の代理若しくは媒介を行い、又はこれらに関する相談に応ずること。

公認会計士の場合

特認制度の中では、最も行政書士業務と関連がない資格です。

公認会計士の主な業務は、企業の「監査」であり、中には税理士業務を行う公認会計士もいますが、行政書士業務を行う者はほとんどいません。

税理士の場合

資格免除者の中では、兼業者が最も多いのが税理士です。

税理士のクライアントの中に、建設業を営んでいる事業者がいれば、建設業許可や産業廃棄物許可などを行政書士業務として行えます。

また、会社設立や営業許可申請等の各種許認可業務、議事録作成業務などで行政書士として携われます。

そのほか、相続で相続税申告以外の業務、相続人の確定、遺産分割協議書の作成等を行政書士として行うことができます。

このように税理士が併せて行政書士登録すると、業務範囲が広がり、結果収入アップにつながるため、最も親和性が高いといえるでしょう。

特認制度の対象にならない公務員は?

公務員のうち行政事務に携わってない方は、試験を受けなければ行政書士になれません。

また、行政事務の対象とされる職務であっても、職務年数が足りない場合は、やはり試験が必要となります。

しかい、公務員の資格で行政書士になる方の多くは、特認制度を利用しているのが現状です。

特認制度での職歴年数は上記の通り、高卒の場合で最低17年です。18歳からずっと行政事務に就いていたと仮定して、最短で35歳で行政書士登録の資格が得られます。

35歳という年齢は、行政書士を取得するのには決して遅い年齢ではありません。

というのも、登録している行政書士の半数を60歳以上が占めているからです。

仮に受験を選択された場合は、学習に多くの時間を取られることや一度で合格しなった場合は複数年学習し続けなければならないことを考えると、受験しようとする方は少ないのではないでしょうか?

よく、行政書士試験と公務員試験を比較して、行政書士の試験科目のうち一般知識は公務員試験と同じレベルだから公務員が行政書士試験を受験するのは有利という人がいます。

しかし、必ずしもそうとは限らないと私個人は考えています。

何しろ行政書士試験の一般知識は、地方公務員の上級レベルと同程度と言われているのです。

公務員試験から年数が経過している方やそもそも上級ではないレベルで試験を受けている方にとって、果たして有利といえるでしょうか?

さらに、公務員の退職金は一般企業より高額です。

中途半端に退職してしまっては、高額な退職金をみすみす逃すことになり、公務であることのメリットを最大限享受することが出来なくなってしまいます。

これらのことから、特認制度を利用して行政書士登録する方がメリットが大きいといえます。

まとめ

行政書士になるには試験のほか、一定の資格により行政書士になれる者がいます。

これを特認制度といい、試験が免除されています。

現時点では弁護士、弁理士、公認会計士、税理士、行政事務に携わった公務員が特認制度の対象となっています。

特認制度のうち、行政書士登録をしているのは税理士が最も多く、他の資格ではあえて行政書士登録するメリットがありません。

公務員であった者も行政書士試験を受けることは可能ですが、現実的にはこちらもメリットがないと考えられます。

公務員でも技術系の職務や行政事務以外の職種である場合は、試験に合格しなくては行政書士になれません。

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