FPは3級から1級まで3つのレベルの試験があり、それぞれのレベルで受験要件が異なります。
FPも1級試験となるとかなりハードルが高くなりますが、2級や3級試験の場合は初学者でも独学合格が可能な試験といえます。
ただ、FP試験は2つの団体で実施されていることもあり、2級や3級の受験を検討している方の中には、違いが分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、今回はFP2級と3級の違いについてご紹介致します。
FP2級と3級の受験資格の違いは?

FPは受験する級によって、受験資格が必要になります。ここでは、FP2級と3級の受験資格の違いについてご紹介します。
級 | 受験資格 |
2級 | ・3級技能検定の合格者 ・FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者 ・日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者 ・厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者 |
3級 | FP業務に従事している者または従事しようとしている者 |
3級では特別な要件は不要ですが、2級試験では上記4つのうちのいずれかの受験資格が必要になります。
実務経験がない方の場合は、FP3級に合格して2年以上の実務経験を積むか、FP協会のAFP認定研修を修了する必要があります。
実務経験のついては、「FP 1級 勉強時間ってどのくらい?対策はどうする?」の記事でご紹介しています。
尚、最後の厚労省の試験については現在行われていません。
FP2級と3級の出題形式の違い

先ず、FP2級とFP3級は出題形式が違いますよね。

出題形式だけでなく、出題される問題数も異なります。
級 | 科目 | 出題形式 | 出題数 | 合格基準 |
2級 | 学科 | マークシート方式による筆記 四答択一式 |
60問 | 60点満点で36点以上 |
実技(きんざい) | 記述式による筆記 | 5題 | 50点満点で30点以上 | |
実技(FP協会) | 記述式による筆記 | 40問 | 100点満点60点以上 | |
3級 | 学科 | ○×式、三答択一式 | 60問 | 60点満点で36点以上 |
実技(きんざい) | 筆記 | 5題 | 50点満点で30点以上 | |
実技(FP協会) | マークシート方式による筆記 | 20問 | 100点満点60点以上 |
一般社団法人金融財政研究所「試験日程・科目・受検手数料」及び日本FP協会「試験要綱」より作成
FP3級の学科では、○×問題がありますが、FP2級は全て択一問題です。
しかも択一問題では、3級では3択であるのに対し、2級は4択となり、難易度は上がります。
学科試験は金財(金財)とFP協会の内容は同ですが、実技は両者で異なります。
また、金財の学科・実技とも2級と3級で出題数に変わりがありませんが、FP協会の実技の2級は3級の倍の出題数となっています。
尚、合格基準については、金財もFP協会も、2級と3級どちらも同じです。
つまり、合格するには満点の6割以上の得点が必要です。
FP2級と3級では試験時間は違う?受験料については?


2級と3級では、やはり時間時間は違うのでしょうか?

試験時間だけでなく、受験料も若干違います。
級 | 時 間 | 受験料 | |
2級 | 学科 | 10:00~12:00 | 4,200円 |
実技 | 13:30~15:00 | 4,500円 | |
3級 | 学科 | 10:00~12:00 | 3,000円 |
実技 | 13:30~14:30 | 3,000円 |
一社団法人金融財政研究所「試験日程・科目・受検手数料」及び日本FP協会「試験要綱」より作成
試験時間は、学科では2級は3級とも同じですが、実技の2級は3級より30分長いです。
尚、試験時間と受験料については金財もFP協会も同じです。
FP2級と3級では試験科目と出題範囲についても違う?
続いて、試験科目と出題範囲の違いを見てみましょう。
級 | 科目 | 出題範囲 | |
2級 | 学科 | A.ライフプランニングと資金計画 B.リスク管理 C.金融資産運用 D.タックスプランニング E.不動産 F.相続・事業承継 |
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実技 | 個人資産相談業務 | 1.関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング 2.個人顧客の問題点の把握 3.問題解決策の検討・分析 4.顧客の立場に立った相談 |
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中小事業主資産相談業務 | |||
生保顧客資産相談業務 | |||
損保顧客資産相談業務 | |||
資産設計提案業務 | 1 .関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング 2 .ファイナンシャル・プランニングのプロセス 3 .顧客のファイナンス状況の分析と評価 4 .プランの検討・作成と提示 |
||
3級 | 学科 | A.ライフプランニングと資金計画 B.リスク管理 C.金融資産運用 D.タックスプランニング E.不動産 F.相続・事業承継 |
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実技 | 個人資産相談業務 | 1.関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング 2.個人顧客の問題点の把握 3.問題解決策の検討・分析 |
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保険資産相談業務 | |||
資産設計提案業務 | 1 .関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング 2 .ファイナンシャル・プランニングのプロセス 3 .顧客のファイナンス状況の分析と評価 |
一般社団法人金融財政研究所「試験科目及び出題範囲」及び日本FP協会「試験範囲」より作成
一見すると、学科については科目に違いがないように感じますが、実はもう少し細かい内容を見ると2級の方が出題範囲が広いことがわかります。
以下、出題範囲ごとの細目をご覧ください。
A.ライフプランニングと資金計画 | 1.ファイナンシャル・プランニングと倫理 2.ファイナンシャル・プランニングと関連法規 3.ライフプランニングの考え方・手法 4.社会保険 5.公的年金 6.企業年金・個人年金等 7.年金と税金 8.ライフプラン策定上の資金計画 9.中小法人の資金計画 10.ローンとカード 11.ライフプランニングと資金計画の最新の動向 |
B.リスク管理 | 1.リスクマネジメント 2.保険制度全般 3.生命保険 4.損害保険 5.第三分野の保険 6.リスク管理と保険 7.リスク管理の最新の動向 |
C.金融資産運用 | 1.マーケット環境の理解 2.預貯金・金融類似商品等 3.投資信託 4.債券投資 5.株式投資 6.外貨建商品 7.保険商品 8.金融派生商品 9.ポートフォリオ運用 10.金融商品と税金 11.セーフティネット 12.関連法規 13.金融資産運用の最新の動向 |
D.タックスプランニング | 1.わが国の税制 2.所得税の仕組み 3.各種所得の内容 4.損益通算 5.所得控除 6.税額控除 7.所得税の申告と納付 8.個人住民税 9.個人事業税 10.法人税 11.法人住民税 12.法人事業税 13.消費税 14.会社、役員間および会社間の税務 15.決算書と法人税申告書 16.諸外国の税制度 17.タックスプランニングの最新の動向 |
E.不動産 | 1.不動産の見方 2.不動産の取引 3.不動産に関する法令上の規制 4.不動産の取得・保有に係る税金 5.不動産の譲渡に係る税金 6.不動産の賃貸 7.不動産の有効活用 8.不動産の証券化 9.不動産の最新の動向 |
F.相続・事業承継 | 1.贈与と法律 2.贈与と税金 3.相続と法律 4.相続と税金 5.相続財産の評価(不動産以外) 6.相続財産の評価(不動産) 7.不動産の相続対策 8.相続と保険の活用 9.事業承継対策 10.事業と経営 11.相続・事業承継の最新の動向 |
一般社団法人金融財政研究所「試験科目及び出題範囲」及び日本FP協会「試験範囲」より作成
このうち、赤字部分は3級にはなく、2級で出題範囲となっている項目です。
中でも、注目すべきは「タックスプランニング」です。3級では「法人税」に関する項目は範囲外でしたが、2級ではこれらの項目についても問われることになります。
1つ目の表に戻ってみて頂くと、きんざいの2級実技の選択科目では、3級にはない「中小事業主資産相談業務」があります。
これらのことから、FP2級は3級の知識に企業に関する知識がプラスされて出題されるといえそうです。
まとめ
FP試験は実施団体が2つあり、出題形式をはじめFP2級と3級ではそれぞれ少しずつ違いがあります。
先ず受験資格については、FP2級では3級にはない要件があります。
出題形式や出題数も2級と3級では、学科・実技とも異なり、さらに2つの実施団体の金財(きんざい)とFP協会のどちらで受験するかでも異なります。
試験時間は実技のみ2級の方が30分長く、受験料も2級の方が少し高く設定されています。
出題範囲は、3級より2級の方が広く、細目も増えています。
FP2級を目指す人のうち、受験資格がない方は3級から受験する必要があります。
どちらも独学できる試験ですが、独学に自信がない方は講座を利用して学習することを検討しましょう。