ファイナンシャルプランニング技能士(通称FP)の試験は、1級から3級まであり、まるで民間の検定試験のようですが、れっきとした国家資格のひとつです。
仕事のためにFPの取得を目指すなら、やはり2級までは取得しておいた方が良いでしょう。
既にFP3級に合格した方は、2級の受験資格を満たしていますので、これを機に是非2級に挑戦して下さい。
今回は、FP2級の合格率についてご紹介致します。
やっぱり、FP2級試験の合格率も金財とFP協会では違う!

FP2級の試験も3級試と同様、金財(きんざい)と日本FP協会では合格率が異なります。
そして、それぞれの合格率にはかなりの違いあります。
金財とFP協会それぞれの合格率についてご紹介します。
一般社団法人金融財政事情研究会の合格率
FP2級の試験も年に3回ほど行われ、通常1月、5月、9月に試験が行われます。
以下、金財経由、直近5回のFP2級合格率です。
試験実施日 | 受検申請者数 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2022年9月11日 | 学科 | 44,968人 | 34,872人 | 5,495人 | 15.75% |
実技 | 31,965人 | 23,392人 | 8,901人 | 38.05% | |
2022年5月22 | 学科 | 47,971人 | 36,863人 | 8,152人 | 22.11% |
実技 | 32,611人 | 23,272人 | 7,634人 | 32.80% | |
2022年1月23日 | 学科 | 61,392人 | 41,803人 | 8,154人 | 19.50% |
実技 | 48,176人 | 31,106人 | 14,105人 | 45.34% | |
2021年9月12日 | 学科 | 59,280人 | 43,499人 | 11,076人 | 25.46% |
実技 | 46,187人 | 32,094人 | 12,848人 | 40.03% | |
2021年5月23日 | 学科 | 23,264人 | 16,959人 | 7,261人 | 42.81% |
実技 | 43,541人 | 30,634人 | 13,714人 | 44.76% | |
2021年1月24日 | 学科 | 70,407人 | 50,865人 | 11,916人 | 23.42% |
実技 | 59,010人 | 40,738人 | 18,571人 | 45.58% | |
2020年9月13日 | 学科 | 73,788人 | 63,741人 | 21,102人 | 33.10% |
実技 | 66,656人 | 56,739人 | 27,287人 | 48.09% | |
2020年1月26日 | 学科 | 51,092人 | 40,110人 | 11,557人 | 28.81% |
実技 | 43,034人 | 32,494人 | 12,495人 | 38.45% |
( 一般社団法人金融財政事情研究会公表資料より作成)
2020年5月に関しては、新型コロナウイルス感染が拡大していることから中止となりました。
また、実技試験の結果については4科目の合計数から合格率を算出しています。
3級同様、合格率は学科、実技ともあまり安定していませんが、金財の合格率は概ね25~45%程度で推移しています。
FP2級も3級の試験と同様、学科と実技を別々に受験することが可能です。
それぞれの合格率は表の通りですが、学科と実技を両方の合格となると実際の合格率はもう少し下がると考えられます。
年に3回ある試験ですが、出来れば学科と実技を一緒に受験したいと思う方も多いのではないでしょうか?

学科と実技の試験を別々とすると効率が悪いと感じます。
ちなみに、私は独学でしたが1回の受験で学科実技ともに合格しています。
残念ながら、公表されている資料からは、学科と実技を別々に受験したのか同時に受験したのかまでは分かりません。
当然ですが、同時に受験する方が上記の合格率よりも若干下がると思われます。
しかし、独学で同時に受験しても十分合格できる資格ですので、時間を空けずに取得したいという場合は、同時受験がおすすめです。
特定非営利活動法人日本FP協会の合格率
次に、FP協会経由、直近5回のFP2級合格率をご紹介します。
試験実施日 | 受検申請者数 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2022年9月11日 | 学科 | 31,989人 | 26,265人 | 11,074人 | 42.16% |
実技 | 27,115人 | 21,516人 | 12,167人 | 56.55% | |
2022年5月22日 | 学科 | 34,877人 | 27,678人 | 13,617人 | 49.20% |
実技 | 30,454人 | 23,237人 | 14,432人 | 62.11% | |
2022年1月23日 | 学科 | 37,738人 | 27,889人 | 11,576人 | 41.51% |
実技 | 32,640人 | 23,186人 | 13,061人 | 56.33% | |
2021年9月12日 | 学科 | 32,697人 | 26,352人 | 13,324人 | 50.56% |
実技 | 27,400人 | 21,294人 | 12,832人 | 60.26% | |
2021年5月23日 | 学科 | 33,475人 | 26,799人 | 14,902人 | 55.61% |
実技 | 26,977人 | 20,608人 | 13,739人 | 66.67% | |
2021年1月24日 | 学科 | 34,349人 | 26,437人 | 11,638人 | 44.02% |
実技 | 30,236人 | 22,474人 | 15,958人 | 71.01% | |
2020年9月13日 | 学科 | 29,789人 | 25,117人 | 12,355人 | 49.19% |
実技 | 24,882人 | 20,163人 | 11,567人 | 57.37% | |
2020年1月26日 | 学科 | 30,592人 | 23,968人 | 10,032人 | 41.86% |
実技 | 25,508人 | 18,980人 | 11,884人 | 62.61% |
(NPO法人日本FP協会の公表資料より作成)
日本FP協会の合格率は、金財より高く、50~70%で推移しています。

2級もFP協会の方が合格率は高いですね!なぜなのでしょうか?

理由のひとつには、FP協会の受験生の方が学習意欲が高いことが挙げられます。
金財とFP協会の合格率の違いと実技試験との関係は?
FP3級と同様にFP2級の試験も学科試験だけは、試験日、内容とも同じです。
3級もそうでしたが、学科では内容が同じなのにやはり、FP協会の方が合格率がかなり高いです。
実技試験に関しては、それぞれ試験内容は異なり、金財につては選択科目が増えています。
もちろん、選択科目が多いから合格率が違うということではありません。
一番の理由は、金財は団体での申込みが多いからだと言われています。

つまり、会社命令で受験したケースが多いからということでしょうか?

一般的にはそういわれています。自ら望んで取りにいったのでなく、仕方なくといった意識で受験した結果が反映されているのでしょうね。
受験生の試験に対する姿勢が違うため、合格率に影響していることは分かりました。
では、試験科目についてはどうなのでしょうか?
金財2級の実技試験は、4科目から選択して受験することになります。
一方、FP協会の実技は選択の余地なく1科目しかありません。
選択科目が違うから合格率が異なるとまでは言えませんが、試験問題を確認しての個人的な感想では実技試験に関しては、金財の方が難しい印象です。
結局、FP2級試験は金財とFP協会のどちらで受けるべき?

2つの機関でそれぞれ合格率が異なるため、どちらで受験した方がよいのか悩まれと思います。
結論としては、合格率に関係なく学科の試験内容は同じなので、自分にとってどちらの実技が解答しやすいのか?で選択すればよいと考えます。
金財の実技試験は以下の科目から選択することになります。
・個人資産相談業
・中小事業主資産相談業務
・生保顧客資産相談業務
・損保顧客資産相談業務
一方、FP協会の実技は「資産設計提案業務」のみです。
FP協会の「資産設計提案業務」は、金財の4科目のうち「個人資産相談業」に該当します。
とすると、自分が携わる業務、もしくはこれから就こうとする業務が生命保険や損害保険関連、或いは中小企業の相談であれば、金財がよいと考えます。
また、業務に関係なく得意科目があれば、その科目で受験するのがよいでしょう。
問題は、生命保険関連、損害保険関連、中小企業相談関連以外で受験する場合です。
正直どちらで受験すべきかは、悩ましいところです。
参考までに、過去直近3回の金財の科目別合格率をご紹介します。
試験実施日 | 試験科目 | 受検申請者数 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
2021年9月12日 | 個人資産相談業 | 23,201 | 16,650 | 7,074 | 42.48% |
中小事業主資産相談業務 | 1,919 | 1,486 | 888 | 59.75% | |
生保顧客資産相談業務 | 20,517 | 13,520 | 4,586 | 33.92% | |
損保顧客資産相談業務 | 550 | 438 | 300 | 68.49% | |
2021年5月23日 | 個人資産相談業 | 23,264 | 16,959 | 7,261 | 42.81% |
中小事業主資産相談業務 | ー | ー | ー | ー | |
生保顧客資産相談業務 | 20,277 | 13,675 | 6,453 | 47.18% | |
損保顧客資産相談業務 | ー | ー | ー | ー | |
2021年1月24日 | 個人資産相談業 | 29,717 | 20,935 | 7,538 | 36.00% |
中小事業主資産相談業務 | 2,129 | 1,628 | 1,044 | 64.12% | |
生保顧客資産相談業務 | 27,164 | 18,175 | 9,989 | 54.96% | |
損保顧客資産相談業務 | ー | ー | ー | ー |
( 一般社団法人金融財政事情研究会公表資料より作成)
9月12日の結果を見る限り、中小と損保の合格率は高目ですが、受験実施日によっては、実施されないこともありますので、科目選択の際には注意が必要です。
金財の「個人資産相談業」とFP協会の「資産設計提案業務」では、FP協会の合格率の方が高いです。
また、試験問題数を見ても金財は5問、FP協会は10問です。合格基準率は同じですが、金財の方は問題数が少ない分、1問解答出来ないとかなりの痛手となってしまいます。
これらのことと私の問題を見た所感を総合すると、FP協会の方が合格しやすいといえそうです。
ただし、2級に終わらす、その先の1級を目指す場合は、金財がおすすめです。
理由は2級の学習が1級の学習でかなり役に立つからです。
まとめ
FP2級の試験も金財(きんざい)とFP協会の2つの団体で実施され、それぞれ合格率は異なります。
全体的にはFP協会の方が合格率が高いですが、その理由は受験生の属性によることろが大きいといわれています。
両団体とも学科試験の内容は同じですが、実技試験が異なります。
金財の実技試験は4科目からの選択ですが、FP協会は選択肢はなく1科目のみです。
どちらで受験すべきかについては、自分にとって解答しやすい方を選ぶのがよいですが、とにかく合格したいという方には、実技試験の難易度が低いFP協会がおすすめです。
一方、1級まで目指したいという方は、金財(きんざい)で受験されるのがよいでしょう。