行政書士試験の一般知識は多くの受験生にとって、対策に苦労する科目でしょう。
過去問だけでは最も効果がない科目といえるのが、一般知識です。
対策が立てにくい上、足切りもあり、多くの受験生が毎年この制度に泣かされています。
そこで、今回は行政書士の一般知識対策についてご紹介します。
一般知識はセンター試験経験者や公務員試験経験者が有利
行政書士試験の一般知識では、「政治・経済・社会」、「個人情報保護・情報通信」、「文章理解」の3つの科目から14問出題されます。
出題数14問のうち最低でも4割を正解しないと、どんなに法令科目の点数が良くても不合格とされてしまいます。
「足切り」と呼ばるこの制度で、多くの受験生が涙を呑んでいて、中には一般知識のせいで受験を諦める人もいるくらいです。
3つの科目のうち、最も対策が立てにくいとされるのは「政治・経済・社会」で、問題数は7問程度で3つのうち一番出題数が多い科目です。
この科目は範囲がとても広く、センター試験レベルともいわれています。
従って、センター試験経験者や大学受験経験者は、この時点で既に他の受験者より先んじているのは否定しようがない事実ではあります。
また、文章理解についてもレベル的には大卒程度の公務員試験問題と同じくらいの難易度と言われています。
今からセンター試験並みの知識を得るのは不可能とさえいえる科目ですが、対策次第で4割以上の点数を獲得することは可能です。
ましてや、ここ数年の一般知識の問題は、より実務向きの問題が出題される傾向になってきています。
これを好機と捉えて、一般知識の学習も諦めることなく対策することが重要です。
足切りを逃れるには4割以上、つまり6問(24点)以上を正解することが必要ですが、出来れば法令科目同様6割の8問(32点)の正解を目指したいところです。
【一般知識科目別目標点数】 | ||
科 目 | 目標正解問題数 | 目標点数 |
政治・経済・社会 | 2問 | 8点 |
個人情報保護・情報通信 | 3問 | 12点 |
文章理解 | 3問 | 12点 |
合計 | 8問 | 32点 |
独学の方は特に一般知識対策にも苦戦すると思います。
予備校やスクールなどの行政書士講座では一般知識だけを受講できるところもあるので、どうしても自分で対策できなという方は、単発で講座を受講されることも検討してみましょう。
一般知識「政治・経済・社会」の対策法

「政治・経済・社会」の出題は7問で、先にも触れましたが、一番対策が困難な科目です。
範囲が広いというか、広すぎて的が絞れません。
また、過去問も大して役に立たない唯一の科目ともいえます。

実は私もセンター試験用の問題集で対策しようとしましたが、ほとんど手を付けることなく諦めてしまった挫折組の一人です。
正直に言うと、センター試験レベルの学習経験がない方やこの科目が苦手な方は、行政書士の学習中にセンター試験並みのレベルまでもっていくのはかなり難しいと思います。

同じ問題が出題されことはないため、「政治・経済・社会」 の科目は過去問で学習するのは意味がないような気がします。

当時、私も自分の能力では克服するのは不可能と決めて、他の科目で満点、時事問題で1~2問の計8問を正解しようと決めて学習していました。
私の場合、受験を決めた時点で試験までの期間が10ヶ月だったこともあり、一般知識ついては的を絞った効率重視の学習方法をとりました。
しかし、2~3年かけて行政書士を目指す場合は、もう少しじっくりに取り組むとより足切りの心配がなくなると思います。
過去問学習の可否については、過去問を完全に無視すると不安が残るでしょうし、傾向を掴むためにも、やはり一通り問題を解く必要はあると考えています。

上記は平成31年に届いた私の合格通知です。
ご多分に漏れず、私にとっても記述式と共に一般知識が悩みの種でした。
しかし、上記の対策法が功を奏したことと、運により予想していたより得点出来たことは幸いでした。
行政書士試験対策において、一般知識の学習をセンター試験用のテキストや問題集でするのは無駄に時間を浪費しているだけになりかねません。
もし、私と同じようにこの科目が苦手な受験生は、「政治・経済・社会」では、時事問題に狙いを定めて学習してみてはいかがでしょうか?
【時事問題に狙いを定めて学習する方法】
・日頃からニュースや新聞等でアンテナを張る
・公務員試験時事問題の教材で学習する
行政書士の試験でも役に立ちそうな公務員用の時事問題の教材を以下にご紹介します。
公務員試験 速攻の時事 令和4年度試験完全対応 |
公務員試験 速攻の時事 実戦トレーニング編 令和4年度試験完全対応 |
講座で学習したい方はこちら → 行政書士試験|2022年合格目標 一般知識強化講座
一般知識「個人情報保護・情報通信」の対策法

「個人情報保護・情報通信」の出題は4問で、個人情報保護では条文がそのまま出題されることが多く、学習方法は法令科目と同様で、条文は必ず押さえておきましょう。
範囲は、「公文書管理法」、「行政機関情報公開法」、「行政機関個人情報保護法」と民間を対象とした「個人情報保護法」です。
受験生の中には、個人情報保護士認定試験向け教材等で学習する方もいるようですが、個人的にはそこまでしなくてもよいかと思います。
参考にとどめる程度であれば問題ないですが、個人情報保護法に限らず、一般知識対策では深入りして、時間をかけ過ぎるのはおすすめしません。
情報通信の分野からは、インターネット関連の用語、セキュリティ関連の用語が多く出題されています。
情報通信については、ネット等で構いませんので、一通りIT用語について目を通しておいた方がよいでしょう。
一般知識「文章理解」の対策法

「文章理解」の出題は3問で、3つの中では一番対策が立てやすく、正解しやすい科目といえます。
とはいえ、国語が得意だったからと、対策なしで受験に臨むのは大変危険です。
理由は、文章理解は解答に時間がかかること、満点を目指すなら解法テクニックが必要となるからです。
文書理解の学習方法では、公務員上級試験向けの文章理解の問題を解くことをおすすめします。
法令科目の学習が一段落した時点で、文章理解の問題に取り組むとよいでしょう。

ちなみに、公務員用の中古の問題集を購入して、春くらいから毎日1問づつ解いていました。

文章理解だけでなく、政治・経済・社会の科目でも毎日1問づつ問題を解くことを習慣にすると良いと思います。
まとめ
行政書士の一般知識は対策が困難であり、かつ過去問があまり役に立ちません。
特に政治・経済・社会の科目では、公務員受験経験者やセンター試験受験経験者が有利です。
これらの経験がない方やこの科目が苦手な方は、この科目に無駄に時間を費やさず、得点できそうな科目に的を絞って学習するようにしましょう。
足切りがを回避のため、もちろん一般知識の学習は必要ですが、本来力を力を注ぐべき法令科目がおろそかになってしまっては本末転倒です。
一般知識は的を絞って効率よく学習するとよいでしょう。