行政書士試験は、「基礎法学」「憲法」「行政法」「民法」「商法」の法令科目5科目と、「政治・経済・社会」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」の一般知識から出題されます。
行政書士は科目数が多い上、足切り制度も採用されているので、各科目ごとの対策が必要な試験です。
そこで、今回は行政書士試験の科目別攻略法をご紹介致します。
行政書士試験の科目別出題数と配点数について

行政書士試験では科目ごとにそれぞれ出題数が異なり、出題形式は法令科目では択一式及び記述式、一般知識では択一式が採用されています。
択一式では5肢選択式と多肢選択式の問題があり、法令科目のうち「憲法」と「行政法」では、多肢選択式の問題も出題されます。
各科目ごとの出題数と配点については以下の通りです。
出題形式 | 科目 | 出題数 | 配点 | 合計 | |
法令科目 | 5肢択一式 | 基礎法学 | 2問 | 8点 | 160点 |
憲法 | 5問 | 20点 | |||
行政法 | 19問 | 76点 | |||
民法 | 9問 | 36点 | |||
商法 | 5問 | 20点 | |||
多肢選択式 | 憲法 | 1問 | 8点 | 24点 | |
行政法 | 2問 | 16点 | |||
記述式 | 行政法 | 1問 | 20点 | 60点 | |
民法 | 2問 | 40点 | |||
一般知識 | 5肢択一式 | 政治・経済・社会 | 7問 | 28点 | 56点 |
情報通信・個人情報保護 | 4問 | 16点 | |||
文章理解 | 3問 | 12点 | |||
合 計 | 60問 | 300点 |
受験を予定される人はそれぞれ得意科目が異なるでしょうが、多くの受験生を悩ませるのが「商法」、「行政法のうち地方自治法」、「一般知識」科目です。
中には、「商法」や「一般知識の政治・経済・社会」を捨て科目とする受験生もいるようですが、あまりに危険なのでおすすめしません。

記述式の配点が高いですね。

そうなんですよ。ここでどのくらい得点できるかが合否の分かれ目になります。
条文や判例から出題される記述式を完璧に解答するのは、ほぼ不可能に近いです。
完璧に解答するのは難しい記述式ですが、得点数も高いため外せない問題です。
具体的な記述式対策については、別記事でご紹介しています。
そして、記述式の問題では完璧に解答出来なくとも部分点がもらえます。空欄にせず、勉強した知識を総動員して、必ず記入するようにしましょう!
行政書士試験の法令科目の科目別攻略法
科目攻略法のうち法令科目について、それぞれ特徴や対策を紹介します。
【憲法】
憲法は簡単な科目ではありませんが、行政書士試験で出題される憲法は他の法律系の資格と比べると難易度はそれほど高くないといえます。
初学習者からすると、言い回し自体が分かりづらく感じるかもしれませんが、範囲もある程度限定されていて、問題は判例や条文から頻出されます。
特に判例では、結論だけでなく過程も問われることが多いので、そこに至る過程まで理解するように学習する必要があります。
憲法も無理に暗記するというより、過去問演習を何度もこなすことで自然と理解出来るようになります。
【行政法】
出題数が最も高く重点を置くべき科目です。資格名からも分かるるように行政書士試験の中心となる科目です。
多くの受験生が苦手とする地方自治法以外は、他の法律科目と比べると理解しやすいと個人的には思っています。
行政手続法、国家賠償法、行政不服審査法、行政事件訴訟法は多肢選択や記述式でも出題されていますので、必ず得点するという気持ちで学習することが重要です。
地方自治法は過去問を中心に反復学習で理解を深めていくのがよいでしょう。
【民法】
行政法に次いで出題数が多い科目です。範囲がとても広いので、むしろ行政法より時間を費やすことになる科目と言えそうです。
特に合格のカギを握る記述式においては、3問のうち2問が民法から出題されるため、民法では記述式を含めた対策が必要になります。
また、記述式の学習は結果として多肢選択式にも生かされます。
5肢択一式の問題は全体的に長文であり、登場人物が多数になると何がなんだか分からなくなることもあります。
民法の学習では、条文を暗記するだけでなく理解することがポイントとなります。
【基礎法学】
過去問からの対策が難しい科目だと思います。
出題数が少ない割には、範囲が広いので過去問から傾向をつかむのが難しいです。
最近では裁判に関する問題も出題されています。
この科目に多くの時間を割くのは得策ではありませんが、一通りは過去問を解いておいた方がよいでしょう。
【商法】
苦手とする受験者が多い科目です。ご多分に漏れず、わたしも苦手な科目でした。
商法・会社法では会社の種類や株式会社の機関に関する問題が頻出されていますが、これがなかなかややこしくて手ごわいです。
深追いぜず、過去問を何度も解くとこで覚えてしまうのが良いと思います。
以上、法令5科目について対策法をご紹介しましたが、行政書士試験では足切り制度が採用されていることに注意が必要です。
法令科目の足切りでは、5科目合わせた満点(244点)のうち、50%以上(122点以上)を得点しなければ合格に至りらないのです。
行政書士試験の一般知識の科目別攻略法
次に、一般知識科目の攻略法について紹介します。
【政治・経済・社会】
一般知識の科目の中で最もやっかいです。
大学受験用の教材で学習される受験生もいるようですが、範囲が広い上、最近は少し傾向が変わってきています。
最近の傾向として、より行政書士業務に関連した問題が出題されるようになりました。
対策が難しい科目ですが、決して捨て問とせず、過去問を中心に時事関連ニュースなどをチェックしてアンテナを張っておくようにしましょう。
【個人情報保護】
一般知識のうち、一番点を取りやすい科目がこの科目と文章理解です。
この科目は、ほぼ個人情報保護法関連の条文から出題されています。
出題傾向としては、あまりひねらず条文がそのまま問われることがほとんどなので、過去問演習で頻出条文を暗記するようとよいでしょう。
そのほか、民間試験の個人情報保護士認定試験の問題を参考にしてもいいかもしれません。
【情報通信】
出題範囲が広いのであまり時間をかけてるのは効率的でないと思います。
年度によっては常識的な知識で解答出来る問題もありますが、最低限でもIT用語辞典に目を通すようにしましょう。
【文章理解】
国語が得意だからとあなどっていると痛い目にあいます。解法のテクニックが必要なので、やはりキチンと学習することをお勧めします。
具体的には公務員試験や大学受験用の文章理解の問題で学習するのがよいと思います。
一般知識の足切りの基準は、満点(56点)のうち40%以上(24点以上)を得点しなければ合格に至りません。

一般知識は満点の40%でいいのですね?!

これが結構大変です。一般知識の足切りでどうしても合格しないという受験生がかなり多いんですよ。
法令科目で合格基準の180点を獲得していても、一般知識で24点取れなくて合格できない受験生は決してすくなくありません。
かく言う私自身もここでは捨て問NGといいましが、実際は「政治・経済・社会」は過去問以外はほぼ対策せず試験に挑みました。
ただ、その他の科目でかなり入念な対策をし、それが功を奏したのだと実感していますので、如何に計画や対策が大事なのかがお分かりいただけると思います。
まとめ
行政書士試験は、5つの法令科目と一般知識と範囲が広い試験です。税理士試験のように科目ごとの受験ではなく、1日の試験で全ての科目が出題されます。
各科目の出題形式や出題数は異なり、それぞれの対策が必要になります。
さらに、足切り制度があるため、苦手な科目を捨てるのはとても危険です。
足切り制度を回避するためにも苦手な科目をカバーするためにも、科目ごとの試験対策はとても重要です。
今回紹介した試験の傾向と対策を参考に最短で合格するための参考にして頂けたらと思います。