行政書士 やめとけって言われる理由について現役行政書士が解説!

行政書士資格

私も経験がありますが、ネットで行政書士について検索していると❝行政書士やめとけ❞という意見をよく目にします。

ネットからの意見だけでなく、知人から同様のことを言われたという方も珍しくないようです。

そこで、今回は実際に行政書士登録をしている現役行政書士の私の視点で、 ❝行政書士やめとけ❞ という意見の真意についてご紹介したいと思います。

行政書士やめとけと言われる理由とは

行政書士について、「行政書士なんてやめておいた方がいい」などネガティブな意見をよく目にします。

そのような意見を持つに至った理由として、多かったのが以下のようなものです。

①独立しても食べていけないから
②独立後3年以内の廃業率は90%だから
③単発で終わる仕事がほとんどだから
④資格取得しても就職に有利に働かないから
⑤ほぼ独立一択だから
⑦士業の中ではレベルが低いから
⑥やっかみ

このような意見は皆さんもよく見かけると思います。

しかし、こうした意見を言う人の何人が行政書士として仕事をしているのでしょうか。

恐らく、ネガティブな意見を言う人の多くが行政書士資格を有していない、もしくは実際に開業していない人なのではないかと推測しています。

それぞれの理由については最もなように感じますが、行政書士として仕事をしている私から言わせると真実でない部分が多いです。

まことしやかにささやかれている理由が、真実とは違うと感じる根拠についてご説明します。

独立後3年以内廃業率90%、行政書士は食べていけないの真実とは

結論からいうと、開業後3年で廃業率90%なんて、真実ではありません。

そう言い切れるのは、ちょうど開業3年目の私が生きた証だからです。

受験者
受験者

それって、真実ではないことの根拠になりますか?^^;

ちょこ
ちょこ

すみません、半分本気で半分冗談です。

現在私は、週に2~3日程度しか仕事をしておりません。それでも、食べていけています。

仕事がないというより、個人的な事情でこれ以上仕事をしなくないという理由から、敢えて営業や集客に力をいれていないのです。

とはいえ、週2日しか働いていないので、家族を養うほどの収入ではありませんし、最初の1年は全く仕事がありませんでした。

しかし、これは、行政書士に限ったことではありません。

頭ではわかっていたつもりですが、「石の上にも3年」とはよく言ったものだと、とつくづく感じさせれた3年でした。

ちなみに私が所属する行政書士会では、廃業される方はそう多くはありません。

廃業すると所属の会報誌に掲載されるので分かります。廃業される方の多くが高齢もしくはお亡くなりになった方です。

日本行政書士連合会から送られている月刊誌でも入会や廃業の人数が掲載されています。

ですから、独立後3年以内の廃業率90%は根拠不明のデマに近いと言えます。

年齢以外の理由で廃業してしまう方は、きっと開業前に3年を耐える心の準備が出来ていなかったのかもしれません。

行政書士の業務は単発がほとんだから食べていけない?

行政書士の仕事は、税理士や社会保険労務士と異なり単発で終わる仕事がほとんどです。

しかし、単発で終わってしまうのは行政書士だけでなく、弁護士や司法書士、弁理士などにも同様のことが言えます。

もっとも弁護士は企業の顧問弁護士となれば継続業務となりますし、弁理士では企業の案件をメインに取り扱えれば、継続的業務となり得ます。

確かに単発で終わる仕事は、常に集客・営業をしなければ仕事が途絶えるという側面がありますが、そのことだけを持って行政書士はやめておいた方が良いという意見は賛成できません。

日本行政書士連合会では行政書士の業務を以下のように紹介しています。

「官公庁に提出する書類」の作成とその代理、相談業務

行政書士は、官公庁(各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等)に提出する書類の作成、同内容の草案やこれらを官公署に提出する手続きについて代理することを業としています。その書類のほとんどは許可認可(許認可)等に関するもので、その数は1万種類を超えるとも言われます。

また、許認可等に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為について、高い専門性を持つ行政書士が代理することにより、事務の迅速化等が図られ国民の利便に貢献しています。

また、行政書士は作成することができる書類の作成について相談に応ずることができます。

※他の法律において制限されているもについては、業務を行うことはできません。

日本行政書士連合会「行政書士の業務」より引用
受験者
受験者

許認可だけも10,000種類以上あるんですね!?

ちょこ
ちょこ

もちろんこれらの業務の多くは、継続的な業務ではありませんし、行政書書士に依頼しないで自分で行うことあるんですけどね。

「権利義務に関する書類」の作成とその代理、相談業務

行政書士は、「権利義務に関する書類」について、その作成(「代理人」としての作成を含む)及び相談を業としています。

「権利義務に関する書類」とは、権利の発生、存続、変更、消滅の効果を生じさせることを目的とする意思表示を内容とする書類をいいます。

「権利義務に関する書類」のうち、主なものとしては、遺産分割協議書、各種契約書(贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解)、念書、示談書、協議書、内容証明、告訴状、告発状、嘆願書、請願書、陳情書、上申書、始末書、定款等があります。

日本行政書士連合会「行政書士の業務」より引用

権利義務に関する書類についての業務も単発で終わることがほとんどです。

しかし、企業からの依頼が取れれば作成できる書類が多肢に渡るので、継続的な依頼も期待できる業務と言えます。

「事実証明に関する書類」の作成とその代理、相談業務

行政書士は、「事実証明に関する書類」について、その作成(「代理人」としての作成を含む)及びその相談を業としています。

「事実証明に関する書類」とは、社会生活に交渉を有する事項を証明するに足りる文書をいいます。

「事実証明に関する書類」のうち、主なものとしては、実地調査に基づく各種図画類(位置図、案内図、現況測量図等)、各種議事録、会計帳簿、貸借対照表、損益計算書等の財務諸表、申述書等があります。

※他の法律において制限されているもについては、業務を行うことはできません。

日本行政書士連合会「行政書士の業務」より引用
ちょこ
ちょこ

意外かもしれんせんが、行政書士も記帳代行や給与計算なども出来るんですよ。それらの業務は「権利義務関する書類」の作成、代行ということになります。

受験者
受験者

記帳代行や給与計算なら継続業務になり得ますね。

その他特定業務

・行政書士法(昭和55年4月30日法律第29号)附則第2項に規定する経過措置に係る行政書士が行う社会保険労務士法第2条第1項第1号及び第2号に掲げる事務

・地方入国管理局長に届出を行った申請取次行政書士が行う出入国管理及び難民認定法に規定する申請に関し、申請書、資料及び書類の提出並びに書類の提示を行う業務

・行政書士法第1条の3第2項に規定する、日本行政書士連合会会則に定める研修を修了した特定行政書士が行う許認可等に関する審査請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続きについて代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成する業務

※他の法律において制限されているもについては、業務を行うことはできません。

日本行政書士連合会「行政書士の業務」より引用

その他の業務のうち入管業務については、 申請取次行政書士でないと業務を行えません。

申請取次行政書士になるには一定の研修を受けて考査に受かる必要があります。

申請取次行政書士の資格は3年の更新制となっています。

また、不服申立て関する業務も一定の研修を受け考査に合格した特定行政書士でないと行えません。

行政書士は就職に有利に働かない、選択肢は独立一択?

行政書士を目指す方で、就職のために資格をと考えている人はほとんどいないと思います。

行政書士の資格で仕事をしたいならば、ほぼ独立しか道はありません。

稀に行政書士事務所に就職するケースもありますが、滅多に求人はありませんし、狭き門で試験より確率が低くそうです。

そのため、そもそも就職に有利か不利かを問うこと自体が、意味のないことです。

行政書士として仕事をしようと考えて学習している人のほとんどが、その先の独立を目指しているのではないでしょうか。

もっとも受験生自身は、そのことについては承知の上だと思いますが、これから受験を検討している方は、就職には不向きな資格だということを念頭に置いておいた方がいいでしょう。

行政書士は士業の中でもレベルが低いと評価されている?

行政書士の評価が低いとされる理由には、法律系の他の資格と比較して難易度が低いせいだと考えられます。

行政書士単体で見れば、試験はそれほど簡単ではありません。

よく行政書士と比較される対象として、8士業がありますが、その8士業とは以下の通りです。

①弁護士
③弁理士
④司法書士
⑤税理士
⑥社会保険労務士
⑦土地家屋調査士
⑧行政書士

難易度については、概ねこの順番です。

8士業における難易度が最下位であるため、行政書士など誰でも取れるレベルの低い資格というレッテルを貼られてしまっているような気がします。

また、行政書士は一定の年数、公務員として行政事務に従事すると試験なしで登録が可能になります。

そして、元公務員だった行政書士は意外に多いです。

これも行政書士が簡単で誰でもなれるとされる理由の一つになっていることは否定できません。

しかし、先にも触れたとおり、行政書士は中途半端な学習で合格できる資格ではありません。司法試験や司法書士を目指す方が腕試しで受ける試験でもあるのです。

❝行政書士 やめとけ❞の中には、やっかみ・ひやかしが含まれる

ネット上でよく目にするこれらの意見については、全く耳を貸す必要はないと考えます。

そもそも、行政書士でもない人の意見、さらには試験さえ受かっていない人の意見が参考になるでしょうか?

行政書士資格の取得を目指す方の中には、独立を考えてない人も少なくありません。

私の同期にも合格しても開業しないという人が何人かいました。

自己啓発のために取得する人、資格取得が趣味の人、今は開業予定がないが定年後の開業を目指して取得する人と、色々です。

どんな理由で行政書士を目指そうと、その人の自由です。

ネガティブな発言をする人は、果たして何をもって「行政書士などやめておけ!」と言うのでしょうか?

開業ありきで、行政書士の資格取得についての意見とすれば、多少心配の念もありネガティブな発言もありかと思いますが、中身をしらない人の意見を鵜呑みにするのはあまりおすすめできません。

まとめ

行政書士の独立後3年以内の廃業率90%という意見は、具体的な根拠が全くありません。

行政書士の仕事は単発で終わることが多いので、常に集客する必要がありますが、食べていけないわけではありません。

行政書士は就職に決して有利とはいえず、独立向きの資格です。

他の士業と比べると難易度が低いので、誰でも取得できる資格と思われがちですが、実際の試験はそれほど簡単でありません。

行政書士を色々評価する方もいるとは思いますが、行政書士でない者からの根拠のない評価等には耳を貸さないようにしましょう。

最後に、行政書士に限らず、どの事業も営業力や集客力がなければ継続するのは困難であることには間違いありません。

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