行政書士の資格を取りたいけど、不安という声をよく耳にします。
世間では「食べていけない職業」とか「3年以内の廃業率9割」など言われる職業なので、仕方がないかもしれません。
そういったことを反映してか、会社員を辞めて行政書士一本で仕事をするのは躊躇するけど、副業や小遣い稼ぎとしての行政書士ならば、と考える人は結構多いようです。
そこで、今回は行政書士の小遣い稼ぎや副業についてご紹介したいと思います。
行政書士は兼業について制限されていない

士業の中には他の業務の兼業を制限されるものもありますが、行政書士に関して言えば兼業規制はありません。
実際行政書士の中には、他の士業と兼業している者や他の仕事と兼務しているケースも少なくありません。
他の仕事と兼務しているケースでは会社に勤務しながら、副業としてあるいはお小遣い稼ぎのため行政書士業務を行っている方もいらっしゃいます。
ただし、行政書士法で兼業が禁止されていないとしても、会社員の場合は会社の就業規則に違反するする可能性があるという問題が残ります。
最近では副業を認める会社が増えてきてはいますが、大ぴらに副業を認める会社は、決して多いとはいえないのが現状です。
憲法では「職業選択の自由」が定められていて、基本業務時間外をどのように使うかは労働者の自由とされています。
一方、副業が会社員としての業務に支障があるとされ裁判になり、解雇が有効になった判例もあります。
小川建設事件(東京地決昭和57年11月19日)
毎日6時間にわたるキャバレーでの無断就労を理由とする解雇について、兼業は深夜に及ぶものであって余暇利用のアルバイトの域を超えるものであり、社会通念上、会社への労務の誠実な提供に何らかの支障を来す蓋然性が高いことから、解雇有効とした事案。
厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」より引用
橋元運輸事件(名古屋地判昭和47年4月28日)
会社の管理職にある従業員が、直接経営には関与していないものの競業他社の取締役に就任したことは、懲戒解雇事由に該当するため、解雇有効とした事案。
厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」より引用
副業に関する争いでは解雇無効とする判例もありますが、まだ副業を認めない企業があることも事実です。
いくら「職業選択の自由」があるとはいえ、副業によって企業の秩序を乱したり、或いは在職中の守秘義務に反すると判断された場合は、解雇されてしまうこともあるのです。
仮に副業が許されている会社であっても、大っぴらに副業するのは、体力だけでなく余程メンタルが強くなくては、きついのではないでしょうか?

副業は出来れば内緒にしたいです。ちょっと体調を崩しただけでも、副業しているからと思われそうです。

例え副業を周囲に内緒にしたとしても、今はマイナンバーがあるため、会社に分かってしまうケースがあることも忘れてはなりません。
お小遣い稼ぎや副業ならリスクが少ない

行政書士は稼げないとか、廃業率9割等、正直ネガティブな情報を目にする機会が多いのは事実です。
確かに、行政書士が一人前になって食べてくのに十分な収入を得るのは、そう簡単にはいきません。
しかし、実際の行政書士は噂されていような仕事では決してありません。
会社員の場合は、就職した月から仕事が出来ようが出来まいが給料が保証されています。
行政書士に限りませんが、独立開業していきなり軌道に乗るなんてことは滅多にありません。
いつなら軌道に乗るのか?なんてことも誰にも分かりません。
このような不安定さが心配な場合は、会社員のまま副業行政書士として、活動するのもありと思います。
行政書士は開業するにあたって費用があまりかかりません。
設備も多くを必要としませんので、自宅で開業する方もかなり多いです。
ただ、副業といえども行政書士会の入会は必須です。
入会費用と年会費等のランニングコストがかかりますが、このくらいの費用は副業でも回収できる金額といえます。
先ずは、副業ではじめて軌道に乗った時点で、独立して本格的に活動が出来るのというのも行政書士の良い点です。
主婦がお小遣い稼ぎで行政書士
主婦の方の中には、仕事をしたくとも家庭の事情で会社勤務のようなスタイルで仕事が出来ないという方もいらっしゃいます。
そういった主婦の方の中には、在宅で出来る仕事を探す方も少なくないでしょう。
最近では主婦が家に居ながらにお小遣い稼ぎが出来る仕事も増えてきていますが、皆が皆稼げるとは限りません。
また、世の中にお小遣い稼ぎや副業の情報は沢山ありますが、その分怪しいものがとても多いという印象も受けます。
だからこそ、主婦には行政書士の仕事が向いているといえます。
何時から何時まで仕事をしなければならないという制約もないですし、お客様との話し合いで自由に時間調整は可能です。
少々初期投資が必要ではありますが、行政書士は怪しい仕事でないですし、むしろ先生と呼ばれる立派な仕事です。
副業・お小遣い稼ぎの行政書士が注意すべきこと
会社員でも会社の就業規則に反しなければ、副業行政書士でもお小遣い稼ぎの行政書士でもご自身のスタイルで業務を行うことが出来ますが、その場合でもいくつか気を付けることがあります。
副業行政書士を検討している人の中には、週末の土日だけ行政書士の仕事をしようと考えている人もいるでしょう。
しかし、土日に限定してしまうと、行政書士は少し難しいといえます。
もちろん、中には土日だけで成功している行政書士もいらっしゃるでしょうが、私自身は簡単ではないと考えています。
取り扱う業務にもよりますが、依頼者が企業であれば土日には問い合わせがありません。
また、許認可業務では申請先のほとんどが土日祭日が休日の官公庁です。
それだけでなく、問い合わせがあった際にすぐに電話に出られない状況が続けば、依頼者に不信感を与えてしまいます。
さらに、対面での相談を持ち掛けられた場合に土日だけというのでは、お客様からすると良いサービスではありません。
最近ではコロナの影響もあり、対面ではなくWebや郵送申請可としているものも増えていますが、それでも土日だけの活動では限界があります。
逆に、相続などのように個人の方からの依頼は土日に入ることもありますが、その場合も戸籍を取得したりするには、やはり平日の方が動きやすいです。
同じ会社員でも、土日以外でも動ける場合は、副業行政書士として成功する可能性は高くなります。
土日だけの副業行政書士が成功できる業務は?

どうしても土日や仕事後の夜間などしか時間が取れない方は、相談などを対面で受けないスタイルでの業務を選んだ方が良いと思います。

対面相談なしで、業務を請け負えるのですか?

知り合いで、民事系の業務のみを取り扱っている行政書士がいますが、集客は全てネット、やり取りは基本メールで行うそうです。
この知人の行政書士は、内容証明などの作成をメイン業務にしている方で、かなり忙しいでようですが、クライアントと対面することはないとのことです。
行政書士の業務は多種多様で許認可だけでも1万種類以上といわれています。
私の知人のケースはほんの一例ですが、他にも土日だけでもやっていける業務は探せば、結構ありそうです。
また、他の行政書士が取り扱っていない業務もやり方次第では、週末行政書士でも成功する可能性を秘めていますね。
まとめ
行政書士は兼業が規制されていません。
従って、行政書士のお小遣い稼ぎや副業などは会社の就業規則に反しなければ可能です。
ただし、行政書士として業務を行うには行政書士会への入会は必須です。
入会金は必要ですが、設備資金もそれほど要せず、自宅開業も可能なため、リスクは低いといえます。
また、家庭との両立が可能な行政書士は主婦の方にもおすすめ出来る仕事です。
お小遣い稼ぎや副業でも行政書士として活動するのであれば、お客様にとって有益なサービスが提供で出来る工夫は必要です。