行政書士は法律系の国家試験であり、受験科目も一般の方には馴染みがないこと、合格率が低いことから難易度が高いと考える方がほとんどだと思います。
そして、受験者にとっては合格率や難易度はとても重要な情報です。
そこで、今回は行政書士試験の合格率や難易度について紹介していきたいと思います。
行政書士試験合格率推移から見る難易度

受験者にとって合格率や難易度は最も気になる項目です。
では果たして、行政書士試験の合格率や難易度は低いのでしょうか?それとも高いのでしょうか?
結論から言うと、行政書士試験の合格率は低くめであるが、難易度は法律系の資格の中ではそれほど高くないと考えられます。
先ずは、行政書士試験の合格率は一般社団法人行政書士試験研究センター公表による直近10年の合格率を見てみましょう。
【最近10年間における行政書士試験結果の推移】 | ||||
年度 | 受験申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和4年度 | 60,479人 | 47,850人 | 5,802人 | 12.13% |
令和3年度 | 61,869人 | 47,870人 | 5,353人 | 11.18% |
令和2年度 | 54,847人 | 41,681人 | 4,470人 | 10.72% |
令和元年度 | 52,386人 | 39,821人 | 4,571人 | 11.48% |
平成30年度 | 50,926人 | 39,105人 | 4,968人 | 12.70% |
平成29年度 | 52,214人 | 40,449人 | 6,360人 | 15.72% |
平成28年度 | 53,456人 | 41,053人 | 4,084人 | 9.95% |
平成27年度 | 56,965人 | 44,366人 | 5,820人 | 13.12% |
平成26年度 | 62,172人 | 48,869人 | 4,043人 | 8.27% |
平成25年度 | 70,896人 | 55,436人 | 5,597人 | 10.10% |
この表を見ると、行政書士試験の合格率はここ10年は10%前後で推移しています。
10%という数字だけをとらえると合格率は低いといえるでしょう。
そして、合格率が低いということは、難易度も高いと思われがちです。
しかし、資格試験では合格率と難易度は必ず同じとはいえなことが往々にしてあります。

確かに平均10%の合格率ですね。
合格者の年齢とか性別の構成比とかどうなっているのでしょうか?

令和3年度はこんな感じです。
↓↓↓
【令和4年度の行政書士試験受験者・合格者の属性】 (単位:人) | ||||||
属性 | 合計 | 男性 | 女性 | |||
受験者数 | 合格者者数 | 受験者数 | 合格者数 | 受験者数 | 合格者数 | |
10歳代 | 570 | 56 | 344 | 43 | 226 | 13 |
20歳代 | 7,810 | 1,178 | 4,712 | 845 | 3,098 | 333 |
30歳代 | 10,117 | 1,611 | 6,445 | 1,128 | 3,672 | 483 |
40歳代 | 12,430 | 1,513 | 8,166 | 1,091 | 4,264 | 422 |
50歳代 | 11,138 | 1,058 | 8,130 | 842 | 3,008 | 216 |
60歳以上 | 5,785 | 386 | 4,830 | 347 | 955 | 39 |
合計 | 47,850 | 5,802 | 32,627 | 4,296 | 15,223 | 1,506 |

びっくりしました。10代の合格者もいるんですね?!

そうなんです。
だれでも受験できるのでこの年は、最年少合格者は15歳で昨年は14歳でしたが今年度は15歳、最年長合格者は昨年82歳、今年度78歳でした。
今回令和3年度行政書士試験の結果は過去3年間と比較すると申込者・合格者ともに増加しています。
合格者の数は10代では昨年度(令和2年度)を下回りましたが、年齢のいおていは昨年15歳から1歳若く14歳の男女各1名の合格者が出ています。
さらに、最年長合格者も昨年の76歳から6歳も更新し、82歳でした。
合格率だけ見ると難易度が高いイメージを持たれがちの行政書士試験ですが、毎年10代の合格者が一定数いること考慮すると、難しいではあるが超難関という程ではないことが分かります。
直近10年合格者・受験者の表が示す通り、行政書士は年齢性別を問わず、誰でも受験可能な試験です。
しかし、実際の試験内容はそれなりに難しく、法律知識がない方の合格は、対策ないではほぼ不可能といっても過言ではない試験です。
行政書士の合格率~他士業の合格率から見る難易度

行政書士試験の年度別合格率や属性について見てきましたが、他の士業の合格率との比較も気になるところでしょう。
そこで、行政書士試験と他士業の合格率を比較してみました。
【令和4年度士業別合格率】 | |||
資格 | 合格率 | 出典 | 受験資格 |
弁護士 |
37.65%(法科大学終了) 97.53%(予備試験合格者) |
法務省公表資料より | 要 |
司法書士 | 5.19% | 法務省公表資料より | 不要 |
弁理士 | 6.1% | 特許庁公表 | 不要 |
公認会計士 | 7.7% | 公認会計士・監査審査会公表 | 不要 |
税理士 | 19.5% | 国税庁公表 | 要 |
社会保険労務士 | 5.3% | 厚生労働省公表 | 要 |
行政書士 | 12.13% | 行政書士試験センター公表 | 不要 |

この中でいえば、僕は弁護士の難易度が一番高いと思っていだけど、合格率自体は、結構高いですね。

そうなんです。そもそも弁護士になるための司法試験は受験するのに厳しい要件があります。
司法試験の受験には、法科大学院過程を終了するか、予備試験に合格するかのどちらかが要件となっています。
つまり、受験資格を得ること自体が、難易度が高いといえる資格です。
受験資格だけでなく、受験の形式をみても資格の合格率と難易度が比例しているとは単純にいえません。
例えば、行政書士試験は試験は1日で終わりますが、税理士試験は、科目ごとに試験日が異なり、一度に全科目合格しなくてもよく、弁理士は2次試験があったりと、単純に合格率だけから難易度は測れないのです。
このように、必ずしも合格率=難易度ではないのです。
合格率が低くても、受験資格不要の行政書士のようは資格は、頑張り次第で一発合格も目指せる試験といえます。
行政書士の合格率は10%なのに10代でも合格できる!
行政書士試験は、一般に大学で法学を専攻している者が有利といわれています。
確かに、私自身も法律が専門外だったため、はじめはかなり苦労したのを覚えています。
しかし、行政書士合格者の属性の表のとおり、最年少合格者は15歳です。最年少受験者に至ってはなんと8歳です。
一見かなり難しく思われるますが、実際は行政書士試験は合格率10%でも、10歳代でも頑張れば受かる試験なのです。
とはいえ、試験の範囲を考えると、8歳や15歳でこの試験を受験するのはなりハードルが高いと思います。
法律科目の基礎である憲法でさえ、小学生では仕組み程度しか学習しなしでしょうし、一般知識に至っては、公務員上級試験と同様、大卒レベルの知識が求められ、大人でも苦戦する科目です。
ですから、15歳でも合格する試験だからと、侮ってかかると、後で痛い目にあうことになってしまうことも忘れてはいけません。
まとめ
合格率10%と一見難しいと思える行政書士試験ですが、実は10代でも合格可能な試験です。
また、合格率と難易度は必ずしも同じではないので、数字だけにとらわれないことが大事です。
効率よく勉強することで、法律知識ゼロからでも一発合格が目指せます。
そのためには、やはり自分に適した学習方法の確立と学習計画が必須となります。
自分でスケジュールを立てられない方は、各種予備校の講座などで学習することをおすすめします。