これから行政書士を目指す方は、合格率や難易度のほか、勉強時間についても気になるところでしょう。
必要な勉強時間が分からないと、合格までの学習スケジュールが立てられません。
人によって1日に確保できる時間は異なるでしょから、合格までにどのくらいの期間を要することになるのか、大まかにでも把握しておきたいはずです。
そこで、今回は行政書士を独学で学習する場合と講座を利用して学習する場合に必要とされる学習時間について、また他士業と比較した場合についてご紹介致します。
学習方法によって行政書士試験に必要な勉強時間は異なる

行政書士の勉強時間は初学者の場合で、800時間以上が必要と言われています。
ネット検索していると、中には500時間とするものも見かけたりしますが、初めての受験で合格した私から見るとやはり800時間が妥当な時間だと思います。
もちろん、500時間で合格する方もいますし、もっと少ない時間で合格した方の体験談なども見かけたりしますが、恐らく少数派だと考えています。
勉強時間だけにとらわれていても意味がありませんが、学習計画を立てるためには、どうしても合格までの標準的な勉強時間を知る必要があります。
人によって、勉強に費やせる時間は異なります。
1日に1時間時間しか時間が確保できない人と4時間でも5時間でも確保できる人とでは、合格まで道のりが異なるのは当然です。
以下に、1日1時間の勉強と1日3時間の勉強で必要とされる学習期間を比較したものをご紹介します。
1日1時間しか勉強時間が確保できない場合 | 必要日数・・・800時間÷1時間/日=800日 合格までの期間・・・800時間÷30日(1ケ月)=26.7ヶ月 |
1日3時間の勉強時間が確保できる場合 | 必要日数・・・800時間÷3時間/日=267日 合格までの期間・・・267時間÷30日(1ケ月)=8.9ヶ月 |
毎日1時間しか勉強時間が確保出来ないと仮定すると、合格までには2年以上が必要という結果になります。
一方、もっと多く3時間確保できると仮定すると、約9ヶ月の学習で合格圏内まで到達できます。
上記の例のように、それぞれのライフスタイルにより確保できる勉強時間は異なり、結果合格までに要する時間が違います。
また、同じように初めて受験される場合でも、独学か講座を利用するかの違いによっても合格までの道のりは異なります。
一般に、講座は最短で合格出来るような独自のシステムとノウハウを持っており、データも膨大です。
受講者は、用意されているカリキュラムに従って学習を進めるだけなので、効率がよい学習方法といえます。
これに反して、独学の方が入手出来る情報は限界があり、全てを自分でこなさなければならないため、通信より時間を要することが予想されます。
ですから、独学の方の場合は少し多めに勉強時間が必要であることを念頭において学習するのがよいと考えます。
法律知識の有無でも勉強時間は異なる
1日に確保できる時間の違いだけでなく、法律知識の有無によっても学習時間は異なります。
例えば、大学で法律を修めた方や行政書士でなくとも法律系の学習経験がある方などは、法律を学んだ経験がない方より恐らく短い学習期間で足りるでしょう。
法律だけでなく、一般知識の分野においてもセンター試験経験者はこの分野の学習経験があることから未経験の方と比べると時間を要しないと思われます。
このように、既に法律の知識があるか、そうでないかによって同じ初挑戦でも要する勉強時間が異なることいえます。
通信講座と独学では勉強時間はどのくらい違う?
行政書士講座を提供している各予備校や資格学校では、行政書士の勉強時間について、独学・初学者の場合で800時間~1,000時間と紹介しています。
これに対して、講座を利用した場合の学習時間については、独学の場合とどのくらい違うのでしょうか?
以下、アガルートとフォーサイトの講座を利用した場合の学習時間についてご紹介します。
講座を利用した場合の勉強時間 | |
アガルート | 講義に200〜300時間程度、復習に300〜400時間程度 |
フォーサイト | テキスト学習など基本講座が120~150時間、過去問講座は120~350時間 |
いずれの講座も初学者向けに設定されている標準学習時間です。
アガルートでは講座を利用して学習する場合は600時間を想定しています。
一方、フォーサイトでは500時間と設定してカリキュラムが組まれています。
独学に自信がない方や効率よく勉強したい方は、通信講座で学習することをおすすめします。
いわゆる8士業で比較してみた

他の資格と比較されるっことが多い行政書士試験ですが、勉強時間についても8士業と比較してご紹介します。
順 位 | 資 格 名 | 必要勉強時間 |
NO.1 | 弁護士 | 8,000時間 |
NO.2 | 税理士 | 2,500~5,000時間 |
NO.3 | 弁理士 | 3,000時間 |
NO.3 | 司法書士 | 3,000時間 |
NO.4 | 土地家屋調査士 | 1,000時間 |
NO.5 | 行政書士 | 800時間 |
NO.6 | 社会保険労務士 | 800時間 |
NO.6とは | 海事代理士 | 500時間 |
この表からも分かるように行政書士の勉強時間は、他の士業と比べてもそれほど膨大というわけではありません。
しかし、暇を持て余している人でない限り、800時間という時間を確保するのは、そう容易いことではないことも事実です。
尚、私自身は、行政書士の資格しか保有しておらず、その他の資格についての学習経験はありませんので、この必要とされる時間が本当のところどうなのか?といったことについては、お伝えで出来ません。
ただ、行政書士試験に限っていえば、800時間は妥当な時間と考えられますので、他の資格についても大きな間違いはないと思います。

税理士の学習時間、かなり開きがありますね?

税理士の資格は科目ごとの試験となるため、全ての科目に合格するのに何年もかかることは珍しくないんです。

確か大学院を修了すれば、科目が免除される制度があるって聞きましたが。

税法3科目のうち2科目免除となるようです。大学院を終えるには最低でも2年かかるので、どうしても学習期間は長くなります。
私の知っている税理士さんの中には最長20年という方がいました。
行政書士と社会保険労務士が同位であるのは意外です。
恐らく行政書士は独学者が多く、社会保険労務士は行政書士ほどは多くなく、講座で学習されるケースが多いからだと推測しています。
まとめ
行政書士を独学で目指す場合の勉強時間は、初めて法律を学ぶ場合で最低でも800時間が必要と言われています。
同じ初学者でも、既に法律知識がある場合はこれより短い学習時間で合格出来る可能性があります。
一方、予備校や資格学校などの講座を利用して学習した場合は、500時間~600時間の学習で合格圏内まで到達することは可能です。
いわゆる8士業の学習時間を比較しても行政書士の学習時間は驚くほど多いわけではありません。
しかし、計画的に学習しなければ勉強時間を確保するのは難しいといえます。
時間がかかっても費用を抑えたいという方は、独学学習でも十分合格は可能です。
時間があまり取れない方や効率重視の方は、講座で学習する方がよいでしょう。