宅地建物取引士というと不動産業界でバリバリ働く男性のイメージをお持ちの人が多いのではないでしょうか。
しかし、実は宅建こそ女性に向いている資格といえるのです。
今回は、宅建が女性に向いている理由や年収についてご紹介します。
宅建(宅地建物取引士)が女性に向いている理由

宅建士の独占業務は女性の方が向いている
宅建士(宅地建物取引士)には3つの独占業務があり、この独占業務はどれも女性にとても向いている業務です。
宅建士の独占業務とは
①重要事項の説明・・・契約前に必ず宅建士が行わなければならない。
②重要事項の説明書面への記名・押印・・・説明同様書面への記名・押印も宅建士が行う。
③契約書(37条書面)に記名・押印・・・重要事項説明書と同様に宅建士が記名・押印しなければ らない。
これらの業務はいわば事務的な仕事であり、どちらかというと仕事が丁寧で細かい女性に向いています。
不動産業界での仕事というと営業ばかりと思われることが多いですが、実は事務的な業務のうち上記3つの業務は国家資格である宅建士の資格を持っていないと出来ないのです。
物腰が柔らい女性こそ宅建士に向いている
宅建士の業務のうち「重要事項の説明」については、宅建士がお客様と対面することになります。この場合、女性の方が好まれるケースがとても多いのです。
特に住宅購入など個人のお客様の場合は、奥様である女性が指導権を握っているケースも少なくありません。
女性から説明を受けて嫌悪感も持つ人は同性・異性ともあまりいませんが、逆の場合では男性の従業員が女性のお客様から敬遠されることが稀にあります。
そうったことから、女性の宅建士の方が向いているといえます。
宅建を女性におすすめする理由
宅建士は確実に需要があるのに取得は難しくない
宅建業を営む事業者には、従業員5人に対し1人以上の専任の宅建士を設置する義務が課されています。
専任の宅建士が退職などで、5人に1人という割合を維持できなくなった場合は、事業所は一定の期間内に宅建士を補充をしなければならないのです。
宅建士は宅建業を営む企業にとっては必須の人材であり、恐らくは今後も大きく変わるとは考えにくいです。
女性の職業として最も需要があるとされる看護師は、資格取得にかなり時間がかかります。多くは高校から専門の学校や大学に通って、その後資格を取得します。
稀に就職してから、看護師を目指す方もいますが、レアなケースです。
一方、宅建士の試験では受験資格が不要で、難易度もそれほど高くなく、学生から定年されている方までどなたでも受験できる資格です。
そして、宅建士の資格は一度取得してしまえば、更新の必要もない永久ライセンスです。
結婚や出産で一度家庭に入られていた方の再就職はとても大変です。
しかし、不動産業界をはじめ、宅建資格を保有していることで再就職でもかなり有利に働きます。
中途採用でよく見かける「経験者に限る」という要件も、宅建士を保有していると「未経験可」とする企業も多いです。
また、中には資格手当を支給している企業もあり、資格手当の金額は5,000~30,000円くらいが相場のようです。

資格手当だけでも、年間にするとちょっとしたボーナス分ですね。

中にはもっと高額な手当てを支給する企業もあるようですが、そうした給料体系の企業は基本給が低かったりしますので、注意が必要です。
女性の宅建士の需要
宅建士は女性に向ている仕事というお話をしましたが、実際に宅建士登録している人はどのくらいなのでしょか。
一般財団法人不動産適正取引推進機構の公表している資料「宅地建物取引士の概要」に『年齢階層別・男女別宅地建物取引士資格登録者数一覧』というのがありましたので、一部抜粋して作成した表をご覧ください。
【年齢階層別・男女別宅地建物取引士資格登録者数一覧表】
令和2年 | 令和元年 | |||||
女性(人) | 男性(人) | 合計(人) | 女性(人) | 男性(人) | 合計(人) | |
~29歳 | 13,596 | 24,482 | 38,078 | 12,507 | 22,974 | 35,481 |
30~39歳 | 36,765 | 72,350 | 109,115 | 36,233 | 73,542 | 109,115 |
40~49歳 | 60,037 | 132,370 | 192,407 | 60,060 | 133,695 | 193,755 |
50~59歳 | 68,952 | 151,820 | 220,772 | 66,692 | 148,785 | 215,477 |
60~69歳 | 45,922 | 141,470 | 187,392 | 45,155 | 145,753 | 190,908 |
70歳~ | 54,651 | 297,217 | 351,868 | 49,901 | 280,880 | 330,781 |
合計 | 279,923 | 819,709 | 1,099,632 | 270,548 | 805,629 | 1,076,177 |
平均年齢 | 54.5歳 | 61.1歳 | 59.4歳 | 54.2歳 | 60.7歳 | 59.0歳 |
これによると女性の宅建士の割合はざっくりと全体の4分の1程度です。
年齢により多少ばらつきがあり、若年層では女性の割合は比較的多く、年齢が上がるにつれて少なくなります。
宅建士は他の士業と比べると女性の割合は多いといえますが、それでもまだまだ女性宅建士の数は十分とは思えません。
意外だったのは、登録者の平均年齢です。男女とも高めですが、女性が長く働ける仕事という証でっもあります。
宅建の年収は女性の場合は標準より高い

資格がないと従事できない宅建士、特に女性宅建士は標準的な女性の給与より高額であるといえます。
国税庁が公表している「民間給与実態調査」の令和2年分調査結果の女性の平均年収に関するデータから抜粋ものをご覧ください。
年 度 | 年 収 | 平均年齢 |
令和2年 | 2,926千円 | 46.7歳 |
令和元年 | 2,955千円 | 46.7歳 |
平成30年 | 2,931千円 | 46.5歳 |
(国税庁「令和2年度分 民間給与実態統計調査」調査結果報告より作成)
これによると女性のへ平均年収は直近3年間は300万円弱です。
一方、ユーキャンによる宅建士年収調査では、女性宅建士の年収は278万円~538万円となっていました。
ざっくりとですが、女性宅建士の給与は平均より高いことがお分かり頂けたと思います。
女性の方が宅建合格率は高い!
実は、宅建試験も女性の方が優勢です。
以下、令和3年度実施された2回の本試験の結果をご覧ください。
性別 | 令和3年度10月実施 | 令和3年度12月実施 | |
申込者 | 女 | 86,766人 | 13,461人 |
男 | 169,938人 | 26,353人 | |
合計 | 256,704人 | 37,579人 | |
受験者 | 女 | 71,711人 | 8,304人 |
男 | 138,038人 | 16,661人 | |
合計 | 209,749人 | 24,865人 | |
合格者 | 女 | 13,704人 | 1,398人 |
男 | 23,875人 | 3,494人 | |
合計 | 37,579人 | 3,892人 | |
合格率 | 女 | 19.1% | 15.0% |
男 | 17.3% | 16.8% | |
合計 | 17.9% | 15.6% |
令和3年に実施されてた宅建士の合格率を見てみると、女性の方が高い結果となっています。

正直、女性の方が合格率が高いのは意外でした。
男性は仕事が忙しいということもあるでしょうが、女性はコツコツ勉強するのが得意だからの結果と考えています。

宅建士取得を検討している女性には、この機会にぜひ試験にチャレンジしてほしいなあと思います。
まとめ
実は宅建士の業務は女性に向いているといえます。
その理由は宅建士の独占業務は事務的な業務であり、女性の方が丁寧に業務にあたる傾向にあるからです。
また、独占業務のうち重要事項説明は接客業務的な要素を含んでおり、物腰が柔らかい女性に適しています。
宅建士の女性の登録割合は他の士業と比較すると多めではありますが、需要を考えるとまだまだ十分とはいえません。
宅建士の年収については女性の場合は標準的な給与より高額です。
家庭の事情で一旦退職されて、今後再就職を検討されている女性にこそ宅建士の資格をおすすめします!